トルマリンの色の種類と価値についてのお話

赤、オレンジ、イエロー、緑、青、藍、紫・・・宝石の中で一番多彩な色を持つといわれているトルマリン。
「トルマリン」という名前は多彩な石という意味の「トゥルマリ」に由来します。多彩な色合いの原因は、一定の化学式では表すことのできない複雑な鉱物構成にあります。様々な元素が入り込んでトルマリンは色合いを変えていくのです。


豊富な色彩を持つトルマリンの色の種類と価値についてご紹介いたします。

1.パライバトルマリン

まるで南国の海のような美しいネオンブルーの輝きを放つパライバトルマリン。このネオンブルーは本来交じり合うことのない酸化クロムと銅が融合したことによって生まれた色。日差しに映えるその強い美しさは、ひと目で私たちの心をひきつける魅力があります。

ネオンブルーの輝きを放つパライバトルマリンは宝石名にもなっているブラジルのパライバ州でのみ産出され、希少価値が高い宝石です。数年後には採掘できなくなってしまうほど産出量が少ないため、近年では価値が上がり、ルビー、サファイア、エメラルドなどの10大貴石を凌ぐ高い評価が下されています。
評価の高いパライバトルマリンはなんといっても、このネオン発色の良さ。自然が作り出したとは思えないほどの色合いが高く評価されます。他のトルマリンと異なり、インクルージョンはそれほど評価の対象には入りません。

2.ルベライト・ピンクトルマリン

ベリーの果実をぎゅっと閉じ込めたような凝縮された発色が美しいルベライト。そのピンキッシュレッドの発色はかつてルビーの代用品として扱われていたことでも有名です。インクルージョンがあるのが一般的なルベライトですが、その理由は、ルベライトの色の赤色を出す化学物質マンガンが、成長中の結晶に傷をつけてしまうため。マンガンが多い程、色は鮮やかな赤になるのに、鮮やかになるほど傷が多くなってしまう・・そのため、鮮やかな色を持ちながら、透明度が高いルベライトというのは、非常に希少価値が高いのです。

評価の高いルベライトは、ルビーではないかと思ってしまうほど赤に近いピンキッシュレッドの発色のもの。色が濃すぎて暗くなってしまうと評価が下がってしまうので、ちょうど良い色の判断が難しい宝石でもあります。

3.グリーントルマリン

青みを帯びた「ブラジル産グリーントルマリン」。一般的なグリーントルマリンは黄色や茶色に偏ったものが多く、逆にクロムトルマリンは、緑が濃すぎて黒くなってしまう・・けれど、清涼感のあるブルーイッシュグリーントルマリンはトルマリンの中でも評価が高くなります。グリーントルマリンの美しさを分けるポイントは透明度と輝き、テリ。凝縮された深みのある色合いでも、黒ずんでしまったり、インクルージョンがあると評価は下がってしまいます。エメラルドより少し淡い色合いがおすすめです。

4.バイカラートルマリン

1つの結晶の中に2色以上の色をもつ「バイカラートルマリン」。 この宝石が生まれる原因は、未だ解明されていない・・という、まさに地球が生んだ神秘の石。 色の占めている割合がひと粒ひと粒異なるため、1つ1つが個性を持つバイカラートルマリンは、まさに運命のひと粒です。

中でも、2色の境界線が交じり合うことなく、くっきりと別れているもの、色の割合が1:1のものは評価が高くなります。2つ以上の色を持つバイカラーの宝石は他にもありますが、グリーンとピンクというまったくの反対色が1つの宝石の中に同居してこれほどくっきりと分かれているのは、まさに地球が生み出した奇跡のような、トルマリンだけの発色です。

5.イエロートルマリン

トルマリンとは思えないほどの透明度で、美しい輝きを発するこの宝石。2000年初頭、アフリカ東部のマラウィとの国境に近いザンビアで、蛍光を感じさせる美しいイエロートルマリンが発見されました。それがこの「カナリーイエロートルマリン」。このネオンを帯びた彩度の高いイエローは、トルマリンの変種の中でも希産で、マンガンを多量に含むことにより鮮やかに発色。

それまでの黄色のトルマリンは、産出されても色が薄く、品質の低いものばかりであまり注目されない宝石でした。しかし、この宝石はそのライムグリーンがかった鮮やかな黄色から、「カナリーイエロー」の名前で、世界的な市場に華々しく登場したのです。眩いばかりの輝きを放ちますが、近年めっきり流通が減少。手に入れることが非常に困難な宝石のひとつに挙げられています。イエロートルマリンの中でも「カナリー」の発色を持つものは評価が高くなります。T

6.ブルートルマリン(インディゴカラー)

深い藍色にほんのりとグリーンを滲ませたような、インディゴブルーのトルマリン。トルマリンの中でも、インディゴ(藍色)を帯びたブルーは産出量が少なく、特に人気の高いカラーのひとつです。
ビズーではインディゴを帯びたブルーの濃さがありながら、黒さや暗さを感じないルースを買い付け。色彩の深みを引き出す美しい「色だまり」が生み出され、ブルーとグリーンが溶け合うような独特の色彩に、一層の深みを与えています。

気になる宝石は見つかりましたか?
多彩なトルマリンの中からお好きな色の宝石を探してみてくださいね。